天文館の喧曝の中にある静穏な空間

10月, 2017年

バーボンの流儀♪

2017-10-19

「姿勢」「飲み方」「所作」

Barでお酒を嗜むには良しとされる
「型」があります。

カウンターに肘をつかず、 背筋は伸ばして
グラスはなるべく下を持ち、などなど、、、

しかし、それが必ずしも全てのケースにおいて最良の選択であるとは限りません。

時としてBarでは「型」よりも
「美学」があるいは「流儀」が
優先されることもあるのです。

その代表が「バーボン」です。
「世の中には二種類の人間がいる。
バーボンを「のむ」人と「やる」人です。

先輩から言われました。
「バーボンは手首でやれ」と

感銘を受けた私は以降この教えを守り
バーボンを飲み続けています。

今回は、バーボンのストレート限定で話を進めます。
バーボンをやるにはお行儀の良さよりも
カッコ良さが求められます。

椅子には浅く座り、やや前傾となるように
両肘をカウンターにつけてこれを支えるようにします。

背中を若干丸め、首からして頭もうなだれるように下げつつも
それでいてカウンターにカブさり過ぎないように注意

だらしなくならない程度の丁度いい
ヤサグレ感を演出してください。

カウンターの極力手前に肘をつけるよう意識すれば
そうみっともない感じにはならないはずです。

また基本的に足は組みません。
普通にお行儀よく座り、
お尻で体を支えるよりも体重の分散が難しく
ダラリとしている風であるのに
むしろ思ったよりもくつろげないでしょうが、そこはガマンガマン。

目の前にバーボングラスが運ばれたならいよいよ飲ヤります。

基本的に両肘はカウンターにつけたまま
左腕(右利き前提)はカウンターと胸と並行になるよう
肘から曲げて支えの役割を維持させます。

このカウンターの上の左腕をまたぐように
右腕も肘をつけたまま。

動かすのは前腕部のみとしながら手首を内側に90度曲げてグラスの真上まで移動させ
人差し指・中指・親指の三本の指で
ヒョイと摘まみ上げるように持ち上げます。

ここで重要なのは手首の角度だけであり
手首をしっかり曲げておかなければ
後の実飲が困難になりますし、
お猪口よろしくお上品にグラスを持ったのでは
、せっかくバーボンを目の前にしながら、
そのワイルド属性を殺してしまうことになりかねません。

実際にやってみるとお分かりでしょうが、しっかり手首を曲げたままこれをキープしつつグラスを扱うのは意外と容易ではありません。

慣れないうちは変な力みが生じるでしょうし
特に肝心の手首周辺には
これは慣れたとしても意識的な力が必要です。

ですが、あくまでも傍からは、力無くうなだれ、かろうじてグラスを持ち上げているように見えなければならず

間違っても「あぁ、この人ガンバッテいるのだなぁ」などと悟られてはいけません。
しっかり力んだまま全力で脱力を演じて下さい。

続きまして、有る無しに関わらず
何かこう悲しい想い出的な過去とかを浮かべている風な
表情を作っていただければなお良しとして
グラスを口元に運び、手首の返しだけでグラスを傾けて酒を流し込みます。
一気に飲み干すことはありません。

むしろチビチビと舐めるようにで結構です。
なるべく顔は動かさず、手首の返しだけで飲む。

これは非常に難しく、慣れないと上手く口に酒を運べずこぼしてしまう可能性があります。

ましてやスムーズと言える速度と落ち着きを持って実践しようとなると
ますます慣れが必要です。慣れてください。

手首を傾けてチビリ

動かすべきは手首だけであることを常に意識しながら。

二クチに、一度ぐらいの割合で一旦グラスをカウンターに置き、以降はこれを繰り返します。

そして、これでグラスが空になるという最後の一クチは、カウンターから両肘を離し
体全体を大きく反り、
天井を仰ぐように顔を上げてグラスを逆さまにする勢いで飲み干しましょう。

空になったグラスをカウンターに置くと同時に何処かへ旅立つような

まるでこの一杯に何か大きな決意が込められていたっぽい感じでグラスを空けたなら

表に繋いでいた愛馬に颯爽と跨り、
アイツへの想いを振り払うかのように
荒野を駆け抜けてもらっても良いのですが

別になにかしらの決意が無くとも
本当に席を立たなくてもいいですし
おかわりしても結構ですどうぞご自由に♪

理想空間♪

2017-10-19

「酒の魅力は香りにある」
そう言っても過言ではありません。

お客様に提供するグラスには
届けるべき匂いがあっても
それを妨げる臭いがあってはいけない。

そのためにも、Barという空間は
必要の無い臭いは極力排除するよう
日頃から努めています。

最も気をつけていることは、
「臭いに匂いを被せない」ようにしています。

「におい」とはすなわち物質です。
何かしらの「におい」がするという現象は
その発生源となる場所から漂ってきた微粒子が、
鼻から吸引され嗅覚を刺激しているということです。

まず「におい」をコントロールしようとするならば
その発生源をいかに制するかを考えています。

不快な匂いは、もちろんのこと、芳香剤やアロマ、お香などの匂いの発生するものの使用は
避けています。

BARの語源

2017-10-19

アメリカの西部開拓時代、1800年代頃に酒場を指して「BAR」と呼び始めたそうです。

当時、酒場では樽から酒を注いで売っていたのですが、勝手に自分で注ぎ飲もうとする人がいて、これを防ぐために酒樽と客の間にバー(棒)を置いたのがきっかけです。
 
また、乗ってきた馬を繋ぐために店の外にバー(棒)のことなど諸説あります。